神子畑
Part 1:平野バス停→山神橋
[兵庫県朝来市]
Mikobata
(Part 1:Hirano bus stop→Yamagami bridge)
2018年5月1日(3日目)
<明 延Part2 3-1 神子畑Part2>
Akenobe(Part 2) Mikobata(Part 2)

[旅の記録2018GW]三丹+瀬戸内への旅
1日目 2日目 3日目 4日目
1-1 出 石1 2-1 小天橋 3-1 神子畑1 4-A1 塩 飽1
出 石2 2-2 豊 岡 神子畑2 塩 飽2
2-3 明 延1 神子畑3 4-A2 下津井
明 延2 3-2a 庭 瀬 4-B ? ?
3-3a 水 島 4-C ? ?
3-2b ? ?

今回の旅のきっかけは、YouTubeで見た1本の「車載カメラで撮影された動画」だった。
兵庫県朝来市内の国道429号を東から西へ走行している映像の途中、進行方向右手に映った「神子畑選鉱場跡」。
前年に佐渡の北沢選鉱場跡を訪れていたが、本州にも同じような施設跡があると知り、早速行くための手段を調べた。
選鉱場跡のすぐそばに「神子畑」バス停があるようで検索してみると、朝来市コミュニティバス「アコバス」がJR播但線新井駅経由でここまで来ているようだ。
しかし、2系統がそれぞれ「運行日:平日 月・金」「運行日:平日 火・木」と記載されていることから土曜・日曜・祝日と水曜は無理。
ゴールデンウィーク・夏季休暇・年末年始以外はほぼカレンダー通りにしか休めない以上、訪れることができる日はゴールデンウィーク中の5月1日(火)しかなかった。

[現在地:JR姫路駅播但線姫新線のりば(兵庫県姫路市)]
昨日特急「はまかぜ6号」から降り立った2番のりば。
今日はここから103系の寺前行き普通列車に乗車。
大阪環状線からは淘汰された103系だが、まだまだ地方の電化区間では健在。
播但線は姫路-寺前間が直流電化区間、寺前-和田山間が非電化区間。
そのため、定期列車は特急「はまかぜ」を除きすべて寺前で折り返しとなる。
この日も寺前で和田山行き普通列車に乗り継いだ。
そして、生野の1つ先・新井駅で下車。
新井駅の構内は対向式ホーム2面2線。
新井駅の駅舎。
ローカル線の駅では管理の都合上などで撤去されたり、観光客寄せのため奇抜な外見へ変えられてしまう駅舎が少なくないが、この駅舎はそういった目に合わず、建てられてから数十年ほとんど変わっていないであろうその外観を保ち続けている。
7時から16時まで(※訪問当時)有人駅であるため、中も概ね綺麗に保たれていた。
駅前で待つこと約30分、事前に調べた神子畑行き「アコバス」の到着時刻になったがバスは来ない。
まさかゴールデンウィーク中は運休なのかと焦ったが、3分ほど遅れて1台の大型車が到着。
一目ではまずコミュニティバスとはわからない、側面に「全但バス」と記されただけの白っぽい車が神子畑行きの「アコバス」だった。
主な利用者である地元民はともかく、そうでない人は利用するためのハードルがかなり高そう。
ともあれ、無事にバスへ乗車し、神子畑を目指す。
なお、この「アコバス」は乗車時に運転士へ降車したい停留所を告げる方式。
特に何も言わなければ終点の神子畑まで乗せていってくれるが・・・。
先客のうち2人が「山本」で下車した後、次は「平野」で停車。
神子畑まではまだだいぶ離れているが(バスの通過時刻表上では7分で行けるらしい)、乗車時に告げた目的地であるここで降りた。
新井駅からの運賃300円を払い、神子畑へ向かう「アコバス」を見送る。
※「アコバス」はコミュニティバスでよくある均一運賃ではなく、100円単位で運賃が変わる。新井駅-神子畑間は400円。
「平野」バス停の周辺。
苗を植える前の、水の張られた田んぼが神子畑川の両岸に広がっている。
ここで降りたのはこのような長閑な風景を見るためではないので、国道429号を神子畑へ向かって歩き出した。
最初の右カーブの途中で分かれる道。
ここに1つ目の「遺構」がある。
『新・鉄道廃線跡を歩く4 近畿・中国編』によると、この道が乗っかっている石垣はかつて神子畑選鉱場から新井駅へ鉱石を運んでいたトロッコ(通称「神新軌道」)の軌道跡だという。
「神新軌道」は軌間500mmで、明治34年の播但鉄道新井駅開業に伴って、それまであった神子畑-羽渕-生野間の鉱石運搬路が変更されて新井への道が整備された。
大正11年の生野精錬所閉鎖により生野への運搬路が廃止されて運転区間は神子畑-羽渕-新井となり、昭和になると動力が馬からディーゼル機関車に変わった。
昭和32年に鉱石運搬はトラックへ切り替えられることとなり、「神新軌道」は廃止。
蛇行する神子畑川の左岸に沿う国道429号を西進すると、大きな左カーブと次の右カーブの中間あたりで川に橋のようなものが架かっているように見えた。
近づいてみると、左岸側の石垣には「(砂)神子畑川平成21年災砂防激特事業砂防堰堤整備工事 兵庫県」と刻まれたプレートが埋め込まれていた。
別のプレートには「竣工 平成23年6月」とあり、平成21年の台風9号による水害(平野地区にあった「神新軌道」の廃線跡の橋も流失した)を受けて、復旧および今後の対策事業として造られた砂防堰堤のようだ。
砂防堰堤というと谷や沢に造られる、コンクリートの堤体に水抜き用?の穴があけられたいわゆる「砂防ダム」が思い浮かぶが、そちらは「不透過型砂防堰堤」と呼ばれるタイプで、ここにあるものは「透過型砂防堰堤」。
そして、国道の向かって右側、自動車や自転車で通り過ぎただけではまず気づかない場所には・・・
(このシチュエーション、昨夏の贄川でもあったな・・・)
「神新軌道」唯一だったといわれるトンネル。
坑口は塞がれているが、「神新軌道」の数少ない遺構としてはまだ健在だった。
トンネルの前から国道429号(おにぎり付き)を見る。
国道429号に戻り、右カーブを進むと今度は左カーブ。
左カーブが終わるところで、右手にコンクリート塊が。
先ほど見た「神新軌道」のトンネル、その西側坑口がここにある。
東側同様、完全に塞がれていて中を伺うことは不可能。
遠景を撮影すると、次の遺構を求めてその先へ。
国道429号はここで一旦神子畑川を越える。
この橋は「平野橋」で、親柱の1つには「(主)朝来大原線」と刻まれていた。
右画像のあたりにはかつて「神新軌道」の橋が残っていたらしいが、国道(当時は県道)の平野橋架け替え工事に伴って平成元年に撤去されてしまったという。
(現在の平野橋には「1990年12月 兵庫県建造」と刻まれていた。)
左画像の左奥には土砂崩れの跡のようなものが見えるが、平成21年の時に発生したものだろうか。
※主要地方道朝来大原線はかつて兵庫県道34号・岡山県道2号として兵庫県朝来郡朝来町(現在の朝来市)と岡山県英田郡大原町(現在の美作市)の間を結んでいた。
「神新軌道」の橋があったと言われているあたりの場所で振り返ると、斜面に不自然なコンクリート塊が。
これも「神新軌道」の何らかの遺構なのだろうか。
進行方向左側にわずかに見えていた石垣。
これも「神新軌道」の名残だろうか。
山神橋で国道429号は再び神子畑川の左岸へ。
そして、山神橋の手前で未舗装路が左へ分岐する。
こちらは旧道(「神新軌道」の廃線跡でもある)だろうが、いつごろまで使われていたのだろうか。
旧道(廃線跡)の路盤の途中には小屋のようなものが建てられており、その先は行けないように見えたので立ち入らず、山神橋からの撮影のみに止めた。
「神新軌道」の頃から使われていたらしい、旧山神橋の橋脚と橋台。
旧山神橋の西詰(神子畑川左岸)。
神子畑川を渡るとすぐに旧道は現道(国道429号)に合流する。

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